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糖尿病網膜症

特徴

糖尿病の合併症の一つで、我が国の成人の失明原因の第三位に位置する疾患です。
糖尿病を発症して5~10年経つと、網膜症を生じやすくなります。

症状

糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状がない場合があり、「見えるから大丈夫」という自己判断は危険です。
糖尿病の方は、目の症状がなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けましょう。

糖尿病網膜症の経過

進行速度は人によって異なります。
血糖コントロールが良好な人は発症しても進行が遅くなりますが、増殖網膜症になると血糖コントロールが良くても網膜症が進行することがあります。
若年層(40~50歳以下)は進行が速く、特に注意が必要です。

  1. 単純網膜症
    糖尿病網膜症の初期症状です。
    眼底に小さな出血や白斑が認められますが、視力低下等の自覚があまりありません。
    血糖コントロールが良好であれば、網膜症が改善することもあります。
  2. 前増殖網膜症
    白斑や出血が増え、静脈の異常な膨らみが見られます。新生血管が作られる前段階で、この段階でも視力低下等の自覚があまりありませんが、危険な状態に一歩踏み込んでいます。
    レーザー光凝固による治療が適応となります。
  3. 増殖網膜症
    新生血管のため、硝子体出血や網膜剥離を生じると強い視機能低下を生じます。視野にすすがかかったり、赤いカーテンがかかったりするなどの自覚症状を生じます。
    しかし、この段階でも黄斑部の障害が少ないと無症状の方もいます。
  4. 糖尿病黄斑浮腫
    上記の①~③の病期に関わらず、黄斑部に浮腫を生じると視力低下を生じます。

治療について

治療は、初期は糖尿病の内科的治療が重要となります。
網膜症が進行すると、必要に応じて網膜光凝固や硝子体内へのVEGF薬の注射を行うこともあります。
さらに進行して、硝子体出血や、牽引性網膜剥離を生じた場合は、硝子体手術を行うこともあります。
また、糖尿病黄斑浮腫では、硝子体内へのVEGF薬の注射が主として行われます。

治療法

網膜光凝固術

レーザー装置を用い、レーザー光で網膜を凝固させることにより、進行を抑えます。

VEGF薬注射

新生血管や血管成分の漏れを抑制する薬剤を硝子体内に注射します。

硝子体手術

硝子体の出血を除去し、網膜を牽引する増殖膜を取る手術です。

トピック

20年前は成人の失明原因の第一位の疾患でしたが、内科および眼科分野での糖尿病治療の進歩で失明される方は減少しています。
今後、糖尿病網膜症の治療では、レーザー治療、硝子体治療に加えて、新たな薬物の硝子体内注射や全身投与が選択されるケースが増えてくると思われます。

Q & A

  1. 血糖値はどのくらい下げるのが、糖尿病網膜症には良いのですか?
    網膜症の発症、進行を防ぐためには、糖尿病の診断がついたら良好な血糖コントロールを目指すことが必要となります。
    しかし、急速な血糖コントロールをすると、前増殖期や増殖期の網膜症ではかえって進行することがあります。また、高齢者は無理な血糖改善による低血糖発作を避けるため、目標とするHbA1はやや高めとなります。
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